交換日記

父が望遠鏡で金環食の観察準備をしている。
どこかのガキが、間違ってその望遠鏡についている、よくわからないレバーを引いた。
すると、あたり一面が黄色と黒色のモザイクになって、父が消えてしまった。
それから幾星霜。
なぜか母だけが時空を超えて父と交信できる手段を持っていた。
交換日記だった。
その交換日記上では、リアルタイムにお互いの書いた文字が見えるようになっている。
毎日のように父と母がその日記上で言葉のやりとりを交わしていた。
恥ずかし気もなく、愛のことばが文字で交換されている。恋人同士さながらである。