今日はドラムのHさんが部屋に練習に来る予定になっていた。キッチンの中華鍋の中に作りっぱなしになっている麻婆豆腐を冷蔵庫に入れていなかったので、それが気になって仕方なかった。
どういうわけか、訪ねて来たのはHさんではなく、同期のY君だった。大急ぎで部屋を掃除しようとしたが、部屋の床がガムの屑だらけになっていて、靴下がくっついて非常に気持ち悪い。
いつの間にか、部屋の所有権が自分から見知らぬ夫婦のものに変更されていて、その所有権がチェンジした夫婦の風呂場で足の裏にくっついたガムの屑を取ろうと苦心していると、いつの間にか体中にガムの屑がついていた。
そこで、その夫婦に身体の洗浄を手伝ってもらうことになった。
夫婦の提案してきた洗浄の方法は、より(とても)巨大なガムの屑で、僕の体に付着したガムの屑を除去しようという酷いものであったが、僕はすでに居候と なっていたので、これを受け入れた。しかし、提案が破綻していたので、僕の体にはさらに巨大なガムの屑が付着してネトネトになっていた。
なんとかその家から脱出して、あてもなく歩いていると、薄汚れたジャージ上下を着たコジキの中年がぶつぶつ言いながら後ろから近寄ってきて、何やらどやし つけてきた。無視してスタスタと速度を速めて歩みを進めると、僕の前に回りこむために側の陸橋に上って走り始めた。同じころ、後ろから中学生くらいの少年 3人が、僕の右側から追い越して行った。その全員がこちらを振り返って、「バカだなこいつ、何も解ってないね。」というような表情で一瞥をくれた。
その3人のうちの一人が、「丸岡さん!」とそのコジキに向かって威勢よく呼びかけた。そのコジキははじめは黙っていたが、やがて少年が500円札を一枚ずつ差し出すと、それをどこかに仕舞い込んで、少年たちに一枚の印刷物を見せた。
その印刷物には、
・A君:8,500ポイント
・B君:7,200ポイント
・C君:6,000ポイント
と書かれていた。
少年たちが丸岡さんに500円と引き換えに貰っているモノに思いを馳せて私は、「どちらがバカか。」とつぶやいた。