実家の二階にある部屋から、一階の玄関に向かって降りて行く途中、モヘヤでできた猫が近寄ってきて、僕の匂いを嗅ぎ始めた。何かの匂いを探していたらしい。しばらくは匂いの主が僕であることを疑っているのか、僕の匂いを楽しんでいるのか、スノッブがワインの香りをわざとらしく楽しむように、目を閉じて顎を上げ、首を振って恍惚としている。
我に返って匂いの主が僕であることを認めると、モヘヤ猫は頬を赤らめて去って行った。
居間に入ると、普通のサイズのゴキブリが動き回っていて、家族が総出で混乱していた。
ピストルで一発撃って、10メートル先の壁のところに居る奴を仕留めたが、兄が、
「弾の数が少ない。無駄遣いするな。」と、表情を変えずに言った。
月: 2014年11月
出戻り就職
仕事仲間のM氏と、前居た会社に戻っていた。
会社の執務室が、小学校の教室そのものになっていて、そこで机を向い合せにしてキーボードを打っている。
社長が入って来て、教壇に立って教師のように振る舞っている。
別の社員が遅れて教室(執務室)に入ってきた。
社長(教師)は遅れて入ってきた社員に向かって、嫌味たっぷりに、静かな声で、「余裕ですね。」と言った。
僕は、僕が随分過去に捨てた、自分自身の嫌な部分をたっぷり持っている、この男(社長=教師)が嫌いだった。言動のひとつひとつが、傍から見ていて恥ずかしかった。
知らないうちに出戻り就職していることに気づいて、「あれ?俺、給料いくらでこの会社に戻ったのかな?」と思った。
ノアの洪水
関西弁の宇宙人が、逆らう人類に対して、洪水を起こして懲罰した。
「お前らそんなん言うにゃったら、今からいたい目ぇ見せたるで。」
鉄骨で頑丈に構築された立体駐車場に、ものすごい勢いで水が浸入してくる。
日本語はすごく上手いが、すごく感じの悪い外国人のオバハンが運転する車で水から逃げ回って、安全なところにたどり着いたが、そこは実家だった。
母に、「あんた食べ過ぎやで。」と言われた。
場面はいきなり転換し、地方の安いビジネスホテルの玄関ホールのようなところで、アルミの金タワシに全裸でくるまって寝ていた。
寝苦しかったので、ふと見ると、腹のうえに同級生でチェリストのG君と、顔は見えないがすごく綺麗な女性が座っていた。G君が、「僕たちこれから結婚するんだ。」と言った。
眠たかったので、祝福の言葉もかけずに「お好きにどうぞ。」と言ってまた寝た。
しばらくして起きたら、ホテルの外に金タワシに簀巻きにされたまま、放り出されていた。