給食当番

中学時代に同学年(別クラス)に鉄っちゃん(鉄道オタク)が居た。
彼も僕も小学生に戻っている(ちなみに実世界では小学校は一緒ではない)。
彼が給食当番で、当番服を着ておかずのから揚げを金属のお皿に盛り付けていた。
あるタイミングで、まだ手元にたくさん残っているのに、から揚げの残りがほとんど無くなっていることに気付く。
お皿一枚あたりに盛る量のバランスが悪いのだろうと思っていたら、違った。
クラスの数人のならず者が、「いただきます」の号令の前にフライングしてから揚げを平らげ、鉄っちゃんにおかわりを求め、彼がそれにすんなり応じていたからだった。
僕は思わず「お前、断れよ!」と語気強く鉄っちゃんに向かってツッコミを入れた。
かれは白い当番服のまま教室の出入り口の自動ドアのところまで、肩を落としてトボトボと歩いて行った。
ああ、鉄っちゃんではなく、ならず者達に注意するのがスジだったな、俺ってただの小心者やん…。と自省しかけたところ、鉄っちゃんは自動ドアの外からこっちにベロを出して笑っていた。
殺意に近いものを感じた瞬間、自動ドアが閉まった。