父母が瀬戸内海の小島に遊びに来ている。
高さ1m、幅30cmほどの水牛の角に、コバルト色のリウゼツランの花が寄生して咲いている。角と花との境目のグラデーションがこの世のものとは思えない美しさである。
いつの間にか、だだっ広いガレージのようなところに移動していた。柵の向こう側の方に、リウゼツランの花と同じ色のコバルト色の強い光があったので、吸い寄せらえるように近づいて行った。光源のあたりはビルの非常口のようになっていて、中世のヨーロッパのような服を着た、白人の少年ひとりと数人の男が居た。
少年が、半ば無理やり非常口に押し込まれようとしたので、それを止めに入ろうとすると、男のうちの一人が静止した。何語だか分からない言語で、「お前たちはダメだ」と言われた。その男はスウォード(長剣)を持ち出してきて、細かく三回、僕の顔を切り裂くジェスチュアをして脅かしてきた。何かの儀式のように、文字を書かれたようでもあった。目の前で鋭い刃物で脅かされたので、少年を追いかけるのをあきらめて立ち去ろうとすると、もときた場所が、ガレージではなく墓場になっていた。
後ろから追いかけてくる白人の一人から、白いピカピカした小さな手のひらに収まるピストルを預かった。
気紛れに、だれかを撃とうともしてみたが、あまりに綺麗なピストルだったので、ポケットに隠した。
5歳くらいの少年が「このままでは捕まるから」と言って先導してくるので、仕方がないからついて行った。
墓場までくると白人の男が追いかけてきたのが分かった。
少年が「こっち」といってマンホールの蓋を開けて降りて行った。足から入るとズブズブと泥の中に沈んで行って、胸から上だけが出た状態になってしまった。
泥の中に居て、さらに沈むことも、上に逃れることもできなくなってしまった。
ふと、先に入った少年はどこへ消えたのだろうと思った。