バスタブにゆったりと沐浴している。
湯に浸かりながら、ぬるめのシャワーを浴びていた。
すると、見覚えのある蜘蛛が迷い込んできた。
体調は1メートルくらいある。
が、体の幅は最大でも15センチくらい。
色だけは黄色と黒の、漫画に出てくるような毒蜘蛛である。
なぜか、以前にこの蜘蛛を退治した記憶があり、以前は細い背骨を叩いて追って殺したのだったが、今回はもうあまり近寄りたくなかったので、シャワーの温度を上げて正面から狙い撃ちにした。
20秒くらい経っても、一向に弱る様子がない。
いよいよ温度をもう一段回上げようとしたその時、蜘蛛の口がメガホンのように開いた。そして、それを傘の先のように閉じて束ねて、鋭い槍のようにして、こちらに向かって襲い掛かってきた。
「エイリアン」の1シーンのようにあっという間の恐怖感もつかの間、右手の人差し指に攻撃を受けたと悟った。
一気に目が覚めた。時計は午前6時前だった。
投稿者: gionshojaAdmin
美しいキモノ
どこかの平屋づくりの広い日本家屋で、僕はそこのスタッフと思わしき女性にキモノを着させてもらっていた。
まだこの季節なのに、浴衣のようなペランペランの綿のキモノだ。あるいは、襦袢だったかもしれない。
兵児帯を結び終わろうとしたとき、そのスタッフからとても良い匂いがしていることに、僕は気がついた。よく見るととても可愛らしい女性だったので、思わずきつく抱きしめてしまった。あからさまな変態的行為だ。
彼女は一瞬で何が起こっているのかを察知し、両掌で僕の胸板を突き放して、「ごめんなさい、帯を締めた時に、体勢がくずれちゃって…。」と、自分のせいにした。
大方、僕のような変態客に同じようなことを何度もされて、自分の中で対応方法が確立しているのであろう。もしくは、店からはじめはそういう風に対応しなさいと指導されているのかもしれない。そう言うと彼女は、また淡々と僕の帯を結びなおし始めた。
キモノを着終わる頃には、12時半を回っていた。茶事の稽古は世田谷で14時の予定だ。あまりもたもたしていると間に合わない。京都で縁のある、着物屋の社長が柱時計の前で、「慌てんかてええ、まだ1時間以上ある。」と言っていた。
僕は慌てて玄関に靴を探しに行った。が、靴箱に僕の靴がない。どこだ俺のスコッチグレイン。
そういえば、今日は玄関から入らずに、中庭の踏み石に置いたままだ…。と思い出した。でもなぜ靴を履いてきてしまったのか、雪駄を取りに家に帰らなければ。と考えながら左の靴を取り上げると手が滑って砂利の上に落ちた。
靴の中に砂利が沢山入ってしまい、その処理に追われた。なぜか靴をひっくり返すだけでは砂利が全部出ていかない。細かい砂は手で掻き出すしかなかった。
そうこうしているうちに、12時45分を過ぎてしまった。
急がねば…。
呉服店(だったのだろうきっと…)をキモノとスコッチグレイン姿で飛び出すと僕は、どうしても走らなければ間に合わない気がした。
そして走り出した。駐車場を右に曲がって、コカ・コーラの自動販売機まで、3メートルくらいの距離が、どうしても縮まらない。1歩踏み込んでも、1センチも進んでいないことに気づいた。それに、なんだか両太腿がとても重たい。
・・というところで朝を迎えた。