妹よ

夕方過ぎ、仕事は興に入っていたが、気圧のせいで頭痛がしたため、ベッドで横になっていたら、いつのまにかうとうとと眠ってしまった。

2020年8月6日(19:00-20:00)夢。

妹が自宅に遊びに来ていた。

仕事部屋でFMのある局でニュースを聴いていると、外国人タレントが我が妹の誹謗中傷を始めた。なぜか日本語だった。

「あいつさ、嘘ばっかつくの。こないだなんかさ、電車遅れたから飛行機できました、とか、しばらく兄と同居するので家買うのとか言っててさ、2年も経ってるのに全然買わねーの。」

ラジオでの外タレの話しはさらに続いた。

僕は妹がどんな嘘を世間様に振りまいているのか、興味深々だったが、隣の部屋で妹がこれを聴いていまいかと、少々心配だった。

と、妹がおもむろに仕事部屋へ入ってきて、そろそろ寝たいからこの仕事部屋を明け渡せと言ってきた。

僕はラジオのボリュームを下げてAMに切り替え、「そ、そうか、おやすみ、、。」と言ってそそくさと退散しようとした。

妹は明日僕に何を着せるかが気になりはじめたらしく、タンスからアロハをとり出しては、あれもこれも安物ばかりだとケチをつけはじめた。

作業部屋はいつのまにか屋外になっており、タンスだったはずのものははハンガーラックにすり替わっていた。30~40着のアロハがハンガーにかけられて、洋品店のさながらに吊るされていた。

と、そこへ、友人のH氏が通りかかり、「こんなところで何やってるんですか?」と尋ねてきた。

「いやー今ラジオで妹の話題が…。」と話しを始めようとしたら、角を曲がった路地の奥の喫茶店のおばちゃんが、水出しアイスコーヒーとアイスカフェオレをステンレスのお盆に載せて持って、ハンガーラックの脇を通ろうとしていた。

こっちを横目で見ながら、「あんたのハンガーラックが道路にせり出して邪魔なのよ。」というような表情をしたのを僕は見逃さなかった。

「あ、すいません。」と詫びながら僕は、それらを手前に引いて道を開けた。

すると、おばちゃんは、「ありがとう。あ、そうそう、これね、お祭りで余ったの。良かったら飲んで。」と言って、バカラのロックグラスに入ったアイスコーヒーとカフェオレを僕らに差し出した。

僕は小さな声で「恐縮です。」と礼をしながらグラスを受け取りながら、H氏に、「どっちがいいですか?」と訊いた。

H氏は間髪いれず無表情に、「どっちでもいいです。」と返した。

昼寝

とある新橋のホテルで同級生のMHちゃんとMKさんと食事の約束をしていた。
三人でレストランに入ると、別館に案内された。
1万そこそこのコースで予約していたので、なんで本館じゃないのかなと疑問に思いながら、テーブルについた。
僕がお誕生日席に座った。その背後には80インチくらいの巨大なモニタがあって、音がうるさかった。
二人がお酒を注文する前にお手洗いに行ったので、しばらく一人で待っていた。
僕もおしっこがしたかったのだが、先に行かれてしまったので、どちらかが戻ってくるのを待つしかなかった。
MHちゃんが先に帰ってきた。
トイレ用のスリッパかなと思って履いた草履が実はMHちゃんのもので、「それあたしの」と注意された。
仕方なく自分の靴を履いてレストランの外に出た。
紳士用のトイレは一つしかなく、もうすでに先客がいて、さらに一人並んでいたので、本館のほうに向かった。
本館への渡り廊下は屋外で、中庭を見下ろす造りになっていた。
本館に入ろうとしたとき、群衆が雪崩のように飛び出してきて、渡り廊下のほうへ押し戻された。
「空襲?」、「えっ空襲って?」、「なんだよ空襲って?」みたいな叫び声が幾重にも重なりあって聞こえた。
僕はMHちゃんとMKさんが心配になったので、別館のほうへ走って戻った。
だが、どう間違えたのか、別の店に入ってしまった。ちょっとリッチな居酒屋のような感じの店だ。
僕は空襲のことより、やはり一人一万以上するコースを予約して、ちょっと格落ちする別館に案内されたことが気になっていた。
ただ、今はそんなことはどうでもいい。
元の店に戻るため、いったん屋外にでようとした。
クマのような体をした顔の濃いオッサンが、僕を羽交い絞めにして、外に出すのを妨害した。
おそらく、外は危険ということだろう。
「離せオッサン!」と強く言うと、力が弱まった。
しかし、僕の肩やら胸板やら尻やらを、やたらさわさわしてくるので、振り払って逃げた。
屋外に出ると、やはり一葉に皆「空襲、空襲」言っている。
が、街の人たちは以外に落ち着いて行動していた。ミサイルは新橋には落ちてこないだろうと高を括っているのだろう。
早くMHちゃんとMKさんを見つけないと、と思った僕は、熊のいる店内に戻ろうとした。
そのとき。
空からトンボ花火のような爆弾がいくつも落ちてきた。
各辺2センチ程度の白い立方体に、黒い羽子板の羽のようなものが、4~5枚付いている。
それは地面に落ちても、すぐには爆発しなかった。
「時差タイプのやつや」と直感したので、やはり急いで店の中に戻ろうとした。
若い男性の歩行者が、そうとは知らずに立方体を踏もうとしたので、「それ爆弾。」と注意した。
彼は慌ててそれを避けたが、立方体が強く点滅して、飛び上がって羽が回転して追いかけてきた。
「しまった。追尾タイプだった。」
レストランとは反対の方向へ、必死で逃げた。
しばらく逃げて空襲が止むと、皆普通に歩きだしていたので、僕もレストランに戻った。
レストランのドアを開けようとしたとき、ひょろっとしたアノニマスのような顔をしたサラリーマン風の男性が僕の腕をつかんで妨害するので、それを振り払って中に入った。

長編

深夜。そこは港で、大きな客船が一隻、停泊していた。
港の地面が急に、せりあがった。
そのせいで、その船が、地面に隠れて見えたり、また現れたりした。
と、思ったら、その大きな客船はさらに巨大に見えたりもした。
僕は不思議に思ってその船を眺めていると、先輩が、「こっちに向かってるんや、気をつけろ。水を被るぞ。」と忠告してくれた。
僕は、自分の履いている革靴が気になったので、水しぶきと水たまりから逃げた。
ありえないくらいの跳躍力で飛べた。
そして、家の壁面にあるプラスチックのパイプにしがみついたのだった。
僕は、革靴が再び気になった。そうこうしながらも、靴が濡れることを避けるように努力していた。
僕より先に、もうびしょ濡れになっていた同級生のKKが、今度は腹いせに、僕にシャワーを浴びせかけてきた。
どのような手段でか、ホースで水を引っ張ってきていたのだ。
僕が、「やめろ、今俺が来ているダウンジャケットは、防水ではない。」と言ったら、KKは水を浴びせかけてくるのをやめた。
そこから、ダンジョンに戻った。
僕は、革靴がうまく履けていなかったので、しっかりと履きなおそうとしたが、カカトのあてものがぶつかって、なかなかうまく履けなかった。
縁台の下の柱に寄り添うようにして、民芸品の靴ベラを見つけたので、それを利用して履きなおしたあと、その靴のカカトにいれるパーツをセットして、ようやくまともに履きなおすことができた。
いつのまにかダンジョンではなくなっていたのだが、またそのあとすぐにダンジョンに戻った。
なぜかドラクエのように3人で並んで歩いているのだった。
ダンジョンを抜けて自宅に戻った。
どうしても流したい曲があるのに、NFSには入っていなかったので、探しまくっていた。
そうこうしている間に、KDさんが、「ち〜まさん、僕車で来ているので、送ります。」と言ってくれたので、そういえば今、YNさん(今フランスでピアノの先生をしている美人の同級生)がリサイタルで日本に帰ってきているので、彼女と結婚しに行こうと思って家を出た。
しかし自分が家だと思っていたところは、実は自分の家ではなく、M先輩の家であると知って愕然とした。
M先輩は、家に親が帰って来ないので、自分の友達を好き勝手に泊めたりしていたのだ。
昔は仲の良くなかった同級生のKKと、すごくくだらない話ししていた。
良く知らないおっさんが、呪いのようなナゾナゾを話し始めた。
その瞬間、KKがおっさんの後ろから首根っこをつかみ始めた。KKナイス。ナイスKK。
僕もおっさんの前から右手で首を締めつつ、左手でタマキンをつかんで、階段の下までおっさんを引きずり降ろした。
おっさんはしつこくナゾナゾのつづきをブツブツと話していた。
「聞き終わって答えられなかったら殺される。」と直感した。
僕は恐怖のあまり、おっさんのタマキンをつかんだまま、そいつの頭をガンガンと壁に打ち付けながら、半泣きで震えた声で、
「滑舌悪いねんオッサン!」「何しゃべってるかわからんのじゃ!」と叫んでいた。
モンスターをやっつけた!
なぜかドラクエ風味に戻っていた。
いつのまにか父母の住む実家にいた。親戚のリカちゃんが夫婦で遊びに来ていた。
ドラクエ代は父が全て収めたため、リカちゃんは小銭を自分の信玄袋に戻した。
母が、「この子、小銭貯めて、ファミコンのソフト買うてんのえ。私もこないだ、100万円玉と、150万円玉、あげたんえ。」と言いながら、相当な量の100円玉を戸棚から出して、引き出しに入れなおした。
父が、母に、「ごめん、振替伝票の金額間違えた。\58,000て書いたけど、ホンマは\57,800やった。」と謝りながら、そのまま金額だけを上書きしてしまった。
僕は、振替伝票をもう一枚切って訂正しないといけないと指摘した。
テレビから、ドビュッシーの『グラナダの夕暮れ』が流れてきたので、ふと画面に目をやると、大沢たかお風の男が主役(どうやらカメラマン役)で、ヨーロッパの古い街を撮影していた。
その街は、全体が胸の高さくらいまで、澄んだ透明の水に浸かってしまっていた。そういう設計の街なのか、災害でそうなってしまったのかは分からない。
街の道路や建物のあらゆるところに、ミケランジェロのような力強い絵画や彫刻が施されていて、どこかの一画に、有名な美人画が水没している場所があった。
大沢たかお風のその俳優が、「やっと会えた…。長かった…。」などとわざとらしく、斜めのアングルで呟いていた。
たかお風は、カメラの長い一丸レフの先を水の中につけ、そのまま自分の頭も水の中に沈めて写真を撮っていた。
僕は、「へー、そんなカメラもあんのか…。」と白けつつも感心しながら、「まあでも、こんな美しい街があるのなら、行ってみたいかもな…。」と、本気で思った。
頭の中で、『グラナダの夕暮れ』のリズムがずっとループしている。
♪ターンタタンタタ ターンタタンタタ ターンタタンタタ …意識が次第に遠のいていった。

蜘蛛

バスタブにゆったりと沐浴している。
湯に浸かりながら、ぬるめのシャワーを浴びていた。
すると、見覚えのある蜘蛛が迷い込んできた。
体調は1メートルくらいある。
が、体の幅は最大でも15センチくらい。
色だけは黄色と黒の、漫画に出てくるような毒蜘蛛である。
なぜか、以前にこの蜘蛛を退治した記憶があり、以前は細い背骨を叩いて追って殺したのだったが、今回はもうあまり近寄りたくなかったので、シャワーの温度を上げて正面から狙い撃ちにした。
20秒くらい経っても、一向に弱る様子がない。
いよいよ温度をもう一段回上げようとしたその時、蜘蛛の口がメガホンのように開いた。そして、それを傘の先のように閉じて束ねて、鋭い槍のようにして、こちらに向かって襲い掛かってきた。
「エイリアン」の1シーンのようにあっという間の恐怖感もつかの間、右手の人差し指に攻撃を受けたと悟った。
一気に目が覚めた。時計は午前6時前だった。

美しいキモノ

 どこかの平屋づくりの広い日本家屋で、僕はそこのスタッフと思わしき女性にキモノを着させてもらっていた。
 まだこの季節なのに、浴衣のようなペランペランの綿のキモノだ。あるいは、襦袢だったかもしれない。

 兵児帯を結び終わろうとしたとき、そのスタッフからとても良い匂いがしていることに、僕は気がついた。よく見るととても可愛らしい女性だったので、思わずきつく抱きしめてしまった。あからさまな変態的行為だ。
 彼女は一瞬で何が起こっているのかを察知し、両掌で僕の胸板を突き放して、「ごめんなさい、帯を締めた時に、体勢がくずれちゃって…。」と、自分のせいにした。
 大方、僕のような変態客に同じようなことを何度もされて、自分の中で対応方法が確立しているのであろう。もしくは、店からはじめはそういう風に対応しなさいと指導されているのかもしれない。そう言うと彼女は、また淡々と僕の帯を結びなおし始めた。

 キモノを着終わる頃には、12時半を回っていた。茶事の稽古は世田谷で14時の予定だ。あまりもたもたしていると間に合わない。京都で縁のある、着物屋の社長が柱時計の前で、「慌てんかてええ、まだ1時間以上ある。」と言っていた。
 僕は慌てて玄関に靴を探しに行った。が、靴箱に僕の靴がない。どこだ俺のスコッチグレイン。

 そういえば、今日は玄関から入らずに、中庭の踏み石に置いたままだ…。と思い出した。でもなぜ靴を履いてきてしまったのか、雪駄を取りに家に帰らなければ。と考えながら左の靴を取り上げると手が滑って砂利の上に落ちた。
 靴の中に砂利が沢山入ってしまい、その処理に追われた。なぜか靴をひっくり返すだけでは砂利が全部出ていかない。細かい砂は手で掻き出すしかなかった。

 そうこうしているうちに、12時45分を過ぎてしまった。

 急がねば…。
 呉服店(だったのだろうきっと…)をキモノとスコッチグレイン姿で飛び出すと僕は、どうしても走らなければ間に合わない気がした。
 そして走り出した。駐車場を右に曲がって、コカ・コーラの自動販売機まで、3メートルくらいの距離が、どうしても縮まらない。1歩踏み込んでも、1センチも進んでいないことに気づいた。それに、なんだか両太腿がとても重たい。
 ・・というところで朝を迎えた。