突然の来客

 仕事仲間のM氏が、突然役者の津川雅彦と二人でアパートを訪ねてきた。

 キッチンが相当散らかっていたので、寝室で片付くのを待ってもらうことにした。

 片付けが一通り終わって、寝室に呼びに行くと、二人で何気なく、枕元の『刑務所良品』を読んでいるのに気がついた。

 掛け布団の中にマニアックなエロ本を隠していることを思い出して、平静を装いながら「エロ本みたやろ?」と尋ねると、二人は「見てません。」と、私の顔から眼をそらすように、斜め45度くらい左上を見ながら、白々しく応えた。

空襲

京都の寺町今出川あたりで、ある夜、空襲を受けた。
B29から、爆弾が落ちてくる。ただし不発だった。
巨大なので「薬莢」と呼ぶのは正しいのだろうか、と考えながら、走って逃げた。
あちらこちらを逃げながら、最終的にたどり着いた避難先が、古本屋だった。そんな緊迫した状況にもかかわらず、その店では、軒先でワゴンセールをやっていた。呑気なものだ。中に入って本棚を眺めていると、『小泉信三全集』が目に飛び込んできた。

新型のDS

兄が、隣の郵便局に新しい任天堂DSが来たというので、見に行った。
画面と本体が一体になっていて、カラオケの装置ほども大きさがあった。
画面の作りが平面ではなく、大きな水晶玉のように出っ張っていて、どの角度からでも良く画面が見えた。
いつのまにか私の膝の上に見知らぬオバハンが仰向けに寝そべっていた。
兄がその上から熱い番茶をこぼした。私にも若干かかった。熱かった。

罰ゲーム

何かの罰ゲームで人力(足廻し)の扇風機を回し続けていた。

その扇風機の風は誰か他の人間のためではなく、全風量が自分に当たってくる。

それもそのはずで、なぜか足廻しのためのペダルはその巨大な扇風機の羽根の中心にあったためだ。しかし足は止まらない。

寒さで目が覚めた。

複合商業施設

複合商業施設のような場所に迷い込む。
変なカフェやレストランやらがたくさんある。あまり見たことがない門構えのお店ばかりだ。おそらく最近日本に上陸した系のやつだろう。
ともかく昨日仕込んだ信用取引の手入れが気になって仕方ない。ヤキモキしていたら、その辺の隅っこにベッドがあり、PC用のモニタが数台並んでいたので、早速寝転がってパソコンもろとも拝借することにした。
スイッチを入れたのだが、画面が暗くて全然見えない。本体の故障ではなさそうだ。画面を見る角度を調節すると、辛うじて見える。
あきらめてその場を立ち去ることにしたが、いつの間にかそのビルの最上階へと通じる階段にいた。
しかも目前は最上階だ。どういうわけか自分自身の設定では、この最上階に部屋を持っていることになっている。
最上階に上ったが、部屋に至る踊り場が途中で通行止めになっており、本来僕の部屋があるはずの場所には工事用のパネルが貼られている。どうやら僕の部屋がその中で取り壊されているようである。
その踊り場より上の階は無いはずだが、いつの間にか父が上の方から降りてきた。珍しくスーツ姿だ。コートも着ている。
「オマエこんな所でなにやってるのや?お前の部屋はもうないで。」
と言うと、踊り場から階段を下に下りて行ってしまった。
ふと左側の壁にモノの気配を感じたので目をやると、僕の名前が宛名として書かれた封筒があった。
ガムテープで四方を無造作に貼り付けられている。
ベリベリと剥がして封筒を破いて中を見た。
「同志社高校入学不許可証」
という厚紙が一枚だけ入っていた。